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第2回 テレワークの失敗例

2019年3月25日

本記事は2017年12月のメールマガジン配信記事です。

さて、前回は「テレワークの基本」と「今注目を集めている理由」についてお送りいたしました。混雑が予測される東京オリンピックの渋滞緩和や、ライフワークバランスの改善につながるとして「テレワークに注目が集まっている」という話でしたね。
ロンドンオリッピックではテレワークが「レガシー(遺産)」として定着していることもわかりました。
今回は「テレワークの失敗例」について学んでいきます。「失敗は成功のもと」ともいいますね。
失敗によって原因を探り、改善していくきっかけにもなります。2回目もぜひお付き合いください。

≪目次≫

  1. テレワークを実施している企業は13%、しかし隠れワーカーも
  2. テレワーク失敗例には2つのパターンがある
  3. 佐賀県庁の在宅勤務制度から見えてきた、成功の鍵とは
  4. まずは推進チームづくりを、そのコツとは

テレワークを実施している企業は13%、しかし隠れワーカーも

「負けた意味は、次に勝つためにある」—NHKの大河ドラマ「直虎」でこんなセリフに出合った。
これをまねて言うと「失敗の意味は、次に成功するためにある」ということになるだろうか。
成功するために失敗例から学ぶことは多い。「テレワークの成功例の陰には、実はつぶれてしまった失敗例も山のように転がっています」と森本登志男さんは打ち明ける。
テレワークを確実に成功させるため、連載2回目ではそんな失敗事例について学びたい。

テレワークを実施している企業は13%、しかし隠れワーカーも

その前に、日本でテレワークはどの程度普及しているのだろうか。総務省の通信利用動向調査(2016年)がひとつの目安になるだろう。それによると、テレワークを導入している企業は13.3%、導入予定がある企業を合わせると16.6%という結果になっている。企業規模でみると、従業員の多い企業の方が実施率は高くなる傾向にある。「この調査は企業がテレワークを制度として認めている数字でしょう。自宅や出先で仕事のメールをチェックするなどの〝隠れテレワーカー〟を含めるとまだ数字はのびるはずです」と森本さんは指摘する。

テレワーク失敗例には2つのパターンがある

テレワークがうまくいかなかったケースは、森本さんによると大きく2つのパターンに分けられるという。

  1. テレワークを実践する前に立ち消えてしまったケース
  2. トップダウンで実践してみたが、うまく機能しなかったケース
テレワーク失敗例には2つのパターンがある

圧倒的に多いのは事例(1)だ。現場から「テレワーク、やったほうがいいよね」と声が上がるが、いざ進めようとしたら「本当に効果が上がるのか?」「社員の勤怠管理ができるのか?」「仕事は顔を合わせてやるものだろう」といった反対意見が山のように出てきて「やっぱりやらないほうがいいかな」と尻すぼみになってしまう。「私の講演に参加されたテレワーク担当者に、後日『どうなりましたか』と聞くと問題が山積みで止まったままになっていたりしますね」

佐賀県庁の在宅勤務制度から見えてきた、成功の鍵とは

(2)の事例として、森本さんは佐賀県庁の在宅勤務制度を挙げた。同制度は森本さんが2011年に最高情報統括監として勤務する以前の2008年、当時の古川康知事のトップダウンで育児・介護中の職員を対象に導入された。まだ珍しかった取り組みは注目を集めたが、「育児・介護中」と対象範囲が限定されていたため利用者は年10名程度。その後、対象を全職員に広げたがそれでも20名程度だった。

佐賀県庁の在宅勤務制度から見えてきた、成功の鍵とは

「佐賀県庁の在宅勤務制度は、ITのインフラと労務管理などの制度はそれなりに整えられたけれど、やはり利用のための組織風土が形成されなかったのが失敗の原因でした。ここから私は次の3点を同時に進めることが成功の鍵だと気づきました」と森本さんは強調する。

  1. システムインフラの整備
  2. 制度の整備
  3. 組織風土の醸成

この3点についてはこれからの回でじっくり解説する予定だが、森本さんはこの3点に留意することで、佐賀県庁職員約4000名対象のテレワークを実現させたことは付け加えておきたい。

まずは推進チームづくりを、そのコツとは

イノベーション(革新)に抵抗は付きものである。テレワーク導入もしかり。森本さんは自身の体験として「やらないほうがいいよ、やったらこんな問題が起こるよという不安の声が山のように出てきます。
まとめるとA3用紙5枚くらいになったこともあります」と話す。
先述した総務省調査では企業がテレワークを導入しない理由として① 適した仕事がない(74.2%)② 情報漏えいが心配(22.6%)③ 業務の進行が難しい(18.4%)が上位3となっている。
「テレワークにたどり着くまでに潰れてしまうのは、そういったいろいろな疑問や不安に、担当者がうまく答えられないからなのです」

まずは推進チームづくりを、そのコツとは

では、どうすればいいのだろうか? 森本さんはチームを立ち上げることを勧める。「担当者が1人で走ると、折れてしまいます。チームでやらないとダメです」。具体的には、先に挙げた「システムインフラ」「制度」「組織風土」を進めるために、チームにはシステム系、人事・総務系、業務改革・経営戦略系という3つの部署が必要だという。この基本セットに加えて「実際にテレワークのサービスを受けるユーザー層、企業の収支管理を担当する財務部門の人、強力なリーダシップがとれる役員が入れば理想ですが、1人でも2人でも仲間を増やすことが大事です」
もちろん森本さんのようなテレワーク導入のプロも企業の担当者にとって力強い伴走者だ。
「この連載も担当者の皆さんを励ますために書いています。ぜひ読んでほしいし、これからの展開にご期待ください」。森本さんはそう締めくくった。

あとがき

テレワーク導入で失敗しやすいのは「現場の反対意見による立ち消え」「トップダウンでうまく機能しなかった」この2つによるものが大きいとのこと。
森本先生のアドバイスによると「チームを立ち上げる」ことが重要で、総務や人事、システム担当者たちを巻き込んでいくことが、テレワークを成功に導くための施策となるんですね。
第3回は「テレワークで営業効率アップ」。離れた場所で働いて売上アップなんて本当に可能なんでしょうか。テレワークが売上増、経費削減にどうつながるのか、興味深い話を森本さんに聞いていきます。
次回もお楽しみに。


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