QT-GenAI ブログ
金融機関で生成AIを活用できる領域は?導入事例やメリットを紹介

近年、金融機関でも生成AIの導入が進んでいますが、「どの業務に活用できるのか」「生成AIは金融業界の厳しいセキュリティ要件に対応できるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。個人向けの生成AIサービスでは対応が難しい要件でも、金融機関での利用を想定した法人向けサービスであれば、セキュリティに配慮しながら業務に活用できる場合があります。
この記事では、金融機関における生成AIの活用シーンや導入課題、対処法のほか、銀行における金融水準のセキュリティ要件を満たした導入事例を紹介します。
30秒で読める本記事の要点
- 金融機関における生成AIの主な活用シーン
金融機関では、「顧客対応の回答支援」「融資審査の資料作成・要約支援」「営業活動の支援(面談記録・商談準備)」「契約書・社内文書の確認業務支援」など、さまざまな用途で生成AIの活用が進んでいます。 - 金融機関が生成AIを導入するメリットと課題
生成AIの導入により、業務効率化や判断基準の標準化などが期待できる一方で、情報漏洩、ハルシネーションなどの課題もあります。 - 金融機関でも安心して利用できる生成AIプラットフォーム金融機関で生成AIを導入するには、高いセキュリティ水準を備えた法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」の活用がおすすめです。気になる方はQT-GenAIをご確認ください。
監修者の紹介

株式会社QTnet AI事業部AIシニアスペシャリスト
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)協議員
ふくおか電子自治体共同運営協議会DXプロデューサー(生成AI)
九州産業大学 AI講座 非常勤講師
佐伯和広
1. 金融機関で生成AI活用が注目される背景
金融機関では、人手不足や業務効率化への動きなどを背景に、生成AIを実業務へ活用する取り組みが進んでいます。日本銀行金融機構局「金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理―2025年度アンケート調査結果からー」でも、2025年時点で生成AIを利用中の金融機関が半数を超えており、大手行では90%を超えているのが現状です。
■金融機関の生成AI活用状況

※試行・利用予定(先行き3年):先行き3年間で試行または利用予定の先。試行・利用検討中:先行き3年間での試行または利用予定はないものの、将来的な試行または利用を検討している先
出典:日本銀行金融機構局「金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理―2025年度アンケート調査結果からー」

出典:日本銀行金融機構局「金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理―2025年度アンケート調査結果からー」
2. 金融機関の主な生成AI活用シーン
金融機関では、顧客対応や文書作成、情報整理など、さまざまな業務の支援に生成AIが活用されています。主に下記のようなシーンで生成AIを使った業務効率化や生産性向上が可能です。
■金融機関の主な生成AI活用シーン

2.1. 顧客対応の回答支援
金融機関では、残高照会や各種手続きの案内など定型的な問合せに、生成AIを活用したチャットボットの利用が広がっています。24時間365日対応できるため、顧客の利便性向上だけでなく、オペレーターの負担軽減にも繋がります。
また、生成AIは問合せ履歴からよくある質問を整理し、FAQの作成や更新の支援も可能です。
2.2. 融資審査の資料作成・要約支援
金融機関の融資審査では、決算書や事業計画書、資金繰り表など、多くの資料を確認する必要があります。生成AIは、審査に必要な資料の要約や重要な情報の抽出、財務情報の整理・分析補助、稟議書のドラフト作成などを支援し、担当者の情報整理や文書作成の負担を軽減できます。
また、過去の審査資料や社内マニュアルをRAGで参照できる環境を構築すれば、審査基準や社内ルールを確認しながら、資料作成や確認作業の効率化が可能です。
なお、最終的な融資判断や与信判断は人が行い、生成AIは業務を支援するツールとして活用することが重要です。
2.3. 営業活動の支援(面談記録・商談準備)
金融機関で生成AIを導入すれば、面談記録や商談内容の要約にも活用でき、営業活動全体を効率化できます。顧客ごとの取引履歴や過去の対話から要点を素早く把握し、情報を整理した上で資料を作成できるため、顧客ニーズに合わせた商談準備をスムーズに進められます。
2.4. 契約書・社内文書の確認業務支援
生成AIは、金融機関の多様化する契約業務においての契約書確認業務や、社内文書のチェックなどの効率化も可能です。大量の文書を効率的に整理できるため、担当者の確認業務の負担軽減につながります。
ただし、生成AIの出力には誤りが含まれる場合もあるため、契約内容の最終確認や判断は必ず人によるチェックを行う必要があります。
3. 金融機関が生成AIを導入するメリット

金融機関では、生成AIの導入によって業務効率化や属人化防止などさまざまなメリットがあります。生成AIを導入する主なメリットは下記のとおりです。
<金融機関が生成AIを導入するメリット>
- 業務効率化とコスト削減
- リスク管理業務の効率化とヒューマンエラーの予防
- 判断基準の標準化
3.1. 業務効率化とコスト削減
金融機関で定型業務などに生成AIを活用すれば、業務効率化とコスト削減を両立できるメリットがあります。例えば、コールセンターでは通話内容の文字起こしや要約、応対履歴の作成を生成AIが支援すれば、アフターコールワークを短縮可能です。
さらに、実店舗では窓口対応に必要な文書作成や手続き案内などの業務を支援できるため、限られた人員でも業務を回しやすくなります。
生成AIで生産性向上や業務効率化が進めば、人件費や外部委託費などの運用コストの削減も期待できます。
3.2. リスク管理業務の効率化とヒューマンエラーの予防
生成AIを活用すれば、金融機関で必要な関連法令や社内規程、過去の対応履歴などを効率的に整理でき、リスク管理業務における情報収集や確認作業の効率化に繋がります。
また、RAGと組み合わせれば、関連法令や社内規程を横断的に参照した問合せ対応や文書作成が可能です。確認漏れや参照ミスなどのヒューマンエラーを防ぎ、リスク管理やコンプライアンス対応の品質向上が期待できます。
3.3. 判断基準の標準化
生成AIは、過去データや社内マニュアルなどをもとに回答を生成できるため、担当者の経験差による判断のばらつきを抑え、安定した業務判断や顧客対応を実現できるメリットもあります。ベテランの従業員が持つ知識やノウハウをドキュメント化し、生成AIが参照できる形で蓄積しておけば、社内での効率的な共有が可能です。属人化しがちな暗黙知を誰でも引き出せる状態にすることで、業務の標準化や生産性の向上にも繋がります。
4. 金融機関の生成AI導入における課題と対処法

生成AIは金融機関の業務効率化や情報活用を促進する一方で、適切に運用するためにはさまざまな課題があります。特に金融機関では、説明責任や公平性、情報セキュリティなどが厳しく求められるため、リスクを理解した上で対策を講じることが重要です。
<金融機関の生成AI導入における課題>
- 生成AIのガイドラインへの対応
- 情報漏洩やセキュリティリスク
- ハルシネーションのリスク
4.1. 生成AIのガイドラインへの対応
生成AIは、学習データに含まれる社会的な偏りや表現の偏りを、そのまま出力に反映してしまうことがあります。特定の属性・立場に配慮を欠いた表現が生成されるリスクがあるため、出力内容は必ず人が確認し、公平性を担保することが重要です。
また、金融業界では、FISC(金融情報システムセンター)の「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」などの安全対策基準を踏まえた運用が求められるため、責任体制や運用ルールを整備し、コンプライアンスを踏まえたガイドラインを構築する必要があります。
4.2. 情報漏洩やセキュリティリスク
金融機関では個人情報や取引情報など機密性の高いデータを扱うため、生成AIを導入する際は情報漏洩への対策は欠かせません。導入時には、入力データがモデルの学習に利用されない設定や、組織ポリシーに合わせた環境構築ができるかを確認することが重要です。
併せて、アクセス権限の管理やログ監視など、多層的なセキュリティ対策も求められます。
生成AIのセキュリティについては、下記の記事を参考にしてください。
4.3. ハルシネーションのリスク
生成AIは、事実とは異なる情報をもっともらしく出力するハルシネーションが発生することがあります。正確性が求められる金融業務では、そのまま業務に利用すると大きなリスクに繋がる可能性があります。例えば、RAGを活用して根拠のある回答を生成させる とともに、AIの回答を担当者が確認・修正する運用を徹底することが重要です。
5. 【株式会社大分銀行さま】生成AIプラットフォーム導入の事例
大分県の第一地方銀行である株式会社大分銀行では、セキュリティ、管理機能、伴走支援体制を評価され2023年に九電グループ「QTnet」が提供する「QT-GenAI」を導入しました。
「QT-GenAI」の活用は、文書作成や議事録作成といった基本的な効率化から始まり、現在では契約締結時のリーガルチェック・融資稟議書の自動作成など高度な用途にも活用が広がっています。 また、毎回テーマを絞って解決策や展開可能性を深掘りする定期ミーティングも実施しており、RAGの活用策やコンテキストエンジニアリングの観点から、新たな対応策の試行が進行中です。
導入から2年で「QT-GenAI」のユーザー数は600名に拡大し、全部門への普及を実現しました。
■「QT-GenAI」の特長

株式会社大分銀行の事例については、下記の記事を参考にしてください。
6. 金融機関が生成AIを導入するときの選定ポイント
金融機関で生成AIを活用するには、業務効率化だけでなく、情報漏洩対策やハルシネーション対策など、金融業界特有のリスクへの対応が欠かせません。導入時は、下記のポイントを確認し、自社の業務やセキュリティ要件に適した生成AIプラットフォームを選定することが重要です。
<金融機関が生成AIを導入するときの選定ポイント>
- 金融業務に適したセキュリティ対策があるか
- RAGを活用できる仕組みがあるか
- ベンダー側に継続的な活用をサポートする体制があるか
生成AIを安全かつ効果的に活用するには、単にAIの性能だけでなく、金融機関の業務要件やセキュリティ基準を満たせる環境を整えることが重要です。適切なプラットフォームを選定することで、現場への定着や継続的な活用に繋げられます。
7. 金融機関のAI活用なら「QT-GenAI」がおすすめ

金融機関で生成AIを活用するには、業務効率化だけでなく、情報漏洩対策や各種ガイドラインへの対応など、高いセキュリティ水準を満たすことが欠かせません。そのため、安全性と利便性を両立した生成AIプラットフォームを選定することが重要です。
QTnetが提供する法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」なら、入力したデータがAIの学習に利用されない設計のため、機密性の高い情報を扱う金融機関でも安心して利用できます。
また、閉域接続にも対応しており、高いセキュリティ環境で生成AIを活用できます。
■機能一覧

7.1. 金融機関でも使える高いセキュリティ機能
「QT-GenAI」は、金融機関ごとに独立した環境で提供可能で、他組織のデータと混在することはありません。入力データは生成AIの学習に利用されないほか、NGワード設定やアクセス制限、フィルタリング機能も備えており、機密情報を適切に管理できます。行政機関での活用実績もあり、高いセキュリティが求められる環境での利用を支援します。
また、Gemini・GPT・Claudeなど複数のLLMを用途に応じて使い分けられるため、業務内容に合わせた柔軟な運用が可能です。
■企業ごとに独立したセキュリティ環境のイメージ

7.2. RAGや権限管理が可能
「QT-GenAI」はRAG機能を標準搭載しており、社内規程や業務マニュアルをデータソースとして登録することで、それらの情報に基づいた回答を生成できます。RAGにより、ハルシネーションの抑制や回答精度の向上に繋がります。
また、部署ごとの閲覧権限や利用権限を設定できるため、機密情報へのアクセスの適切な管理も可能です。
■QT-GenAIのRAG機能のユーザー管理の例

金融機関で安全に生成AIを活用したい方は、まずはQT-GenAIの資料ダウンロードやお問合せから、具体的な機能や導入方法をご確認ください。
監修者の紹介

株式会社QTnet AI事業部 AIシニアスペシャリスト
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)協議員
ふくおか電子自治体共同運営協議会 DXプロデューサー(生成AI)
九州産業大学 AI講座 非常勤講師
佐伯 和広
2007年QTnet入社。技術部門を経て、20年から新規事業部⾨に所属し、無人店舗の実証やeスポーツ施設の新設などのプロジェクトを担当。23年からAI事業のリーダーとして法人向けマルチ生成AIプラットフォーム「QT-GenAI」のリリースなどAIを活用した新規事業の創出に従事。社外でもAI人材の育成に積極的に取り組むほか、Google主催のイベント登壇や商工会議所でのセミナー講師など生成AIの普及・教育に注力している。
8. よくある質問
Q金融機関でのAI活用事例はありますか?
金融機関でのAI活用事例として、大分銀行さまでは「QT-GenAI」を導入し、文書作成や議事録作成、融資稟議書の自動作成などに活用が広がっています。また、RAGの活用策やコンテキストエンジニアリングの観点から、新たな対応策の試行が進行中です。
Q地方銀行でも生成AIの活用は進んでいますか?
地方銀行でも生成AIの活用は進んでいます。日本銀行金融機構局「金融機関における生成AIの利用状況とリスク管理―2025年度アンケート調査結果からー」では、2025年時点で生成AIを利用中の地方銀行・信用金庫は、43.1%となっています。
Q金融機関が生成AIを使う際のリスクは何ですか?
金融機関が生成AIを使う際の主なリスクとして、「情報漏洩やセキュリティ上の問題」「ハルシネーション」「AIの判断根拠が分かりにくい」といったことが挙げられます。安全に活用するには、入力データの管理やアクセス制御、RAGによる回答精度の向上、人による最終確認などの対策が重要です。




