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第14回 テレワークで生まれる新たなビジネスチャンスとは?

2019年3月25日

本記事は2018年6月のメールマガジン配信記事です。

さて、前回は「サテライトオフィスで業務実績が20%アップ、その秘密とは?」についてお送りいたしました。サテライトオフィスの活用で1カ月あたり64時間もの自由な時間ができ生産性がアップしたという、セールス・フォース社の事例を中心にご紹介いたしました。長時間に及んでいた通勤時間が短縮されることで仕事の生産性が高まり、プライベートも充実できたというお話でしたね。
第14回  テレワークで生まれる新たなビジネスチャンスとは?人口減少による人手不足が問題にあがる中、テレワークによる新ビジネスが生まれているそうです。中でも東急電鉄の「NewWork」は2人の社員の声からシェアオフィス事業がスタート。全国に広がり、福岡では3店舗を展開されています。このようなテレワークによる新ビジネスのチャンスはほかにもあると森本さんは話します。
それでは、お付き合いください。

≪目次≫

  1. サテライトオフィスにビジネスチャンスあり
  2. 2人の社員の声から生まれた東急電鉄の「シェアオフィス」
  3. テレワーク浸透の鍵握るインフラにも
  4. サテライトオフィスの整備が2025年問題の解消に?!

サテライトオフィスにビジネスチャンスあり

さまざまな分野におけるイノベーション(革新)は、新しいビジネス、雇用、ライフスタイルを生み出してきた。古くは蒸気機関、新しくはパーソナルコンピュータ、インターネットの出現もそうだし、オフィスにしばられた従来の働き方をイノベートするテレワークもまたしかりだ。テレワークで変わるライフスタイルや雇用形態についてはこれまでの連載で触れてきた。この回ではどのような新しいビジネスが生まれるのかに焦点を当てたい。元佐賀県最高情報統括監(CIO)でテレワークの第一人者・森本登志男さんは、サテライトオフィスをめぐる新ビジネスに注目している。

サテライトオフィスにビジネスチャンスあり

サテライトオフィスには、以下の2つの形態があることは前回述べた。

  1. 専用型(会社が単独で自社専用スペースとして利用)
  2. 共用型(複数の企業が同じ施設をシェアして利用)

森本さんは「現時点では、地価の高い都市部で企業が自前でサテライトオフィスを確保することは現実的ではありません」と指摘。そのうえで「特に都心の場合、鉄道会社、不動産会社、ホテル、カラオケ店などにサテライトオフィスを展開するビジネスチャンスがあると思っています」と語る。テレワークを進めたい企業のニーズが(2)の共用型にあり、不動産会社などには保有資産の有効活用というメリットがあるというのだ。

2人の社員の声から生まれた東急電鉄の「シェアオフィス」

その具体例として、森本さんは自著「あなたのいるところが仕事場になる」(大和書房)で、東京急行電鉄株式会社(東急電鉄)の完全会員制のサテライトシェアオフィスサービス「NewWork」を紹介している。
本書によると、「NewWork」事業は2016年5月にスタート。「この事業がおもしろいのはトップダウンではなく、2人の社員が『満員電車での通勤が大変』という実体験を元に事業の提案をし、それを会社も認めて事業がスタートした点です」と森本さん。

2人の社員の声から生まれた東急電鉄の「シェアオフィス」

法人限定のサービスで、会員企業の従業員に専用のICカードを配布し、オフィスへの入退室はすべてICカードで行われる。そのためセキュリティが確保され、入退室履歴を勤怠管理に利用できるという。ICカードがあれば全国どの店舗でも利用が可能だ。立地場所によって利用形態に特徴があり、都心のオフィスは営業活動のすき間時間に1、2時間など短時間利用するケースが多く、郊外のオフィスは育児中の女性社員が半日など長時間利用するケースが多いという。
直営店のほかに全国のシェアオフィスやカラオケ店、ホテルなどと提携して展開している。ホームページによると、九州でも福岡県に3店舗、宮崎県と沖縄県に各1店舗が開設している。

テレワーク浸透の鍵握るインフラにも

東急電鉄ばかりではない。インターネットで検索すると、各国でレンタルオフィスを展開する海外企業をはじめ、不動産会社、ホテル、カラオケ店などがシェアオフィス事業に乗り出していることが分かる。これらは政府が進める「働き方改革」が追い風になっていることは疑いない。

テレワーク浸透の鍵握るインフラにも

森本さんは、こうした民間のサテライトオフィス事業が単にテレワークから派生した新ビジネスというだけでなく「テレワークを活用した働き方改革がどの程度のスピードで社会に浸透していくか、そのキャスティングボードを握る社会インフラになっていくと思います」と期待する。
シェアオフィス以外のビジネスチャンスについては「在宅勤務をやる企業が多くなれば、会社員は家にいる時間が増え、生活パターンも変わってきます。例えば、家の中の仕事環境を整えるために、イスや机などの需要が増える可能性はあるでしょう」と森本さん。「その人のアクティビティの周辺に新たに必要となってくるモノや消費があり、そのニーズを的確につかめればビジネスチャンスになります」と語る。

サテライトオフィスの整備が2025年問題の解消に?!

新ビジネスの展開から話は広がるが、同じ経済の活性化という意味で森本さんは「地方自治体は工場誘致よりもサテライトオフィスを建設して都市企業の人材を誘致すべし」との持論を主張する。「地方都市は空き物件の宝庫です。統合して空いた学校や公民館、商店街の空き店舗などをサテライトオフィスに改装した方が、ゼロから工場をつくるよりもずっと安上がり。にぎわいの創出にもつながります」

サテライトオフィスの整備が2025年問題の解消に?!

ターゲットは都会で勤務している地方出身者のUターンだ。日本の人口の中で大きなボリュームを占める団塊の世代(1947〜49年生まれ)が2015年には65歳以上になり、2025年には75歳以上の後期高齢者となる。いわゆる「2025年問題」であり、介護や医療、福祉の担い手不足が深刻化するといわれている。その中で例えば、都市部の企業が社員を出身地にUターンさせ介護離職することなく勤務を続けてもらう、その受け皿として出身地の自治体が地域戦略としてサテライトオフィスを整備する——というイメージである。
実現できれば、企業、働き手、地方自治体にとって「三方よし」(森本さん)が可能になる。
森本さんは福岡県と佐賀県、熊本県が接する一帯を挙げ「地元出身者が多い有明工業高等専門学校があり、東西南北の高速道路と鉄道が交差している。Uターン者を受け入れるサテライトオフィスエリアとして有望です」と期待を寄せる。
自社へのテレワーク導入だけでなく、それがもたらすビジネスチャンスにも考えを巡らせてみると、テレワークの必要性をより感じられるかもしれない。

あとがき

廃校や使っていない公民館、空き店舗などを活用して、地方で働く場所と機会が設けられれば、Uターンの増加や街の活性化につながりますし、間もなく訪れる2025年問題への打開策となるのかもしれないと森本さんは指摘していましたね。確かに、今あるものを活用できればゼロから施設や工場をつくるよりもはるかに安くつきますし、未来に訪れる担い手不足の解消につながりそうです。
第15回は 「テレワーク導入におけるハード面で必要となるサービス」についてお送りします。これまでテレワーク導入における体制づくりやソフト面について、森本さんのお話をご紹介してきました。次回は、テレワークを実際に導入する場面になったとき、テレワーク推進担当者はどういった機器やサービスを準備する必要があるのか、森本さんだけでなく、QTnet担当者も交えて話を聞いています。
次回は森本さんとQTnet担当者に詳しく伺っていきます。お楽しみに!


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