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第13回 サテライトオフィスで業務実績が20%アップ、その秘密とは?

2019年3月25日

本記事は2018年5月のメールマガジン配信記事です。

さて、前回は「実証事業からテレワーク全庁導入へ踏み切るまで【佐賀県庁のご紹介】」についてお送りいたしました。テレワーク導入の経緯から、実証事業での効果検証、効果や改善例の報告会、実際の導入まで、森本さんがどのように行って成功させたのかを具体的に見ていくことができました。タブレットの配布の仕方、管理職を納得させるための施策などとても参考になる内容だったと思います。
第13回 サテライトオフィスで業務実績が20%アップ、その秘密とは?「在宅勤務」や「訪問先でのモバイルワーク」といったテレワークのほかに「サテライトオフィス」が多様な働き方の一つとして選ばれるようになってきました。人手不足で悩む企業や働き手にとってサテライトオフィスでの勤務はどのようなメリットがあるのでしょうか。
それでは、お付き合いください。

≪目次≫

  1. サテライトオフィスに秘められた、大きなパワー
  2. オフィスの場所によって分かれる3種類の形態
  3. 東京本社から460km離れたサテライトオフィス
  4. 九州は「サテライトオフィス・アイランド」目指せ

サテライトオフィスに秘められた、大きなパワー

テレワークには「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」という基本的な3つの働き方がある。
総務省が2015年度に実施した「テレワークモデルの普及促進に向けた調査研究」によると、3つの働き方のうち在宅勤務のニーズが最も高く23.6%、次いでモバイルワークの12.1%、サテライトオフィス勤務は9.7%という順になっている。

サテライトオフィスに秘められた、大きなパワー

調査ではサテライトオフィス勤務のニーズは低いが、実は、開設された地域の活性化といった波及効果は他のテレワークよりも大きく、国も普及に力を入れている。そこで今回は、これまでの連載でもあまり触れてこなかったサテライトオフィス勤務の秘められたパワーについて、テレワークのエキスパート、元佐賀県最高情報統括監(CIO)の森本登志男さんに解説していただいた。

オフィスの場所によって分かれる3種類の形態

厚生労働省のガイドブック「テレワークではじめる働き方改革」によると、サテライトオフィスは「施設利用型勤務」とも呼ばれ、自分の職場以外のオフィスや施設を就業場所として使用する働き方である。

オフィスの場所によって分かれる3種類の形態

スペースの契約形態によって以下の2つに分けられる。

  1. 専用型(会社が単独で自社専用スペースとして利用)
  2. 共用型(複数の企業が同じ施設をシェアして利用、シェアオフィス、コワーキングスペースなど)

さらにオフィスの場所によって次の3つに分かれる。

  1. 顧客先に近い場所
  2. 従業員の自宅に近い場所
  3. 遠隔地

森本登志男さんは「テレワーク全般にいえることですが、サテライトオフィス勤務も会社がそこを勤務場所と認めていることが大前提です」と指摘する。認められていないと、対価の発生しないサービス勤務になってしまうからだ。

東京本社から460km離れたサテライトオフィス

森本さんの著書「あなたのいるところが仕事場になる」(大和書房)には「セールスフォース・ドットコム」社の事例が取り上げられている。CRM(顧客管理)をクラウドベースで提供する米系企業で、日本本社は東京都内だが約460km離れた和歌山県白浜町にサテライトオフィスを構えている。オフィスの場所で分類すると「遠隔地型」に当たる。
本書によると、同社の白浜オフィスは「白浜町ITビジネスオフィス」の一角にある。開設は2015年11月。内勤営業部の社員3名が常駐し、それ以外に8名が希望制で3カ月程度滞在し東京に戻るというローテーションで運用している。内勤営業部は商談の初期段階の案件発掘が主な業務で、そのあとは顧客を訪問する外勤営業に引き継ぐ。対面営業ではないため、遠く離れた白浜町でも業務が可能なのだ。テレビ会議システムで東京との距離を感じることもなく、白浜町に勤務するシニアマネージャーは東京オフィスの部下の業務管理も行うが「仕事を可視化すること」で問題ないのだという。

東京本社から460km離れたサテライトオフィス

通勤時間は車で片道10分ほど。東京勤務に比べて大幅に通勤時間が短縮されることで、1カ月当たり約64時間もの自由時間が生まれ、社員は家族との時間、仕事の準備、トレーニング、地域でのボランティア活動などにあてているという。「こうしたストレスフリーの生活で心身ともにリラックスでき、仕事への活力へとつながっていく。それが地方のサテライトオフィスの大きなメリットです」と森本さん。現に、白浜オフィスに赴任すると、1人当たりの新規案件発掘率が東京勤務時代より平均20%高くなるのだそうだ。

九州は「サテライトオフィス・アイランド」目指せ

こうした地方でのサテライトオフィスを促進する事業として総務省の「ふるさとテレワーク」がある。実は「白浜町ITビジネスオフィス」もそのモデル地域として2015年度の実証事業で採択され、「セールスフォース・ドットコム」の進出などで注目を集めている。森本さんもCIO時代に佐賀県鳥栖市の採択にかかわった経験がある。

九州は「サテライトオフィス・アイランド」目指せ

「ふるさとテレワーク」とは、ICTを利用したサテライトオフィスを地方に設置することで都市部の仕事や人の流れを地方へと導き、地方創生や働き方改革の実現に貢献することが目的。公募で採択された自治体には補助金が交付される。2015年度の実証事業を経て、16年度から本格運用されている。
森本さんは「ふるさとテレワーク」でも採択されている遠隔地のサテライトオフィスを「ストレスフリー型サテライトオフィス」と名付ける。さらに「温泉地があちこちにある九州は、ストレスフリー型サテライトオフィスの宝庫ではないでしょうか。いわば九州は〝サテライトオフィス・アイランドの可能性を秘めているのです」と指摘する。
確かに、九州内の観光地に保養所など福利厚生施設や研修所などを持っている企業も少なくないだろう。このような既存施設の一部をストレスフリー型サテライトオフィスとして活用すれば、少ない投資でメンタルヘルスや病後のリカバリー期間のオフィスとしても役立つのではないだろうか。

あとがき

サテライトオフィスの活用で1カ月あたり64時間もの自由な時間ができ、家族との時間や仕事の準備にあてることができたというセールス・フォース社の事例、とても興味深いものでしたね。限られた時間のなか、長時間に及んでいた通勤時間が短縮されることで仕事の生産性が高まり、プライベートも充実。こうした取り組みによるストレスの軽減は離職率を下げることにもつながっていくのではないでしょうか。
第14回は「テレワークが生んだビジネスチャンス」についてお送りします。
近年、シェアオフィスやサテライトオフィスが増加を続けるなか、開設場所として閉店した商店街や、閉鎖した駅前のビルなどが活用されるようになってきました。東京急行電鉄株式会社(東急電鉄)は沿線に会員制のサテライトオフィスを開設し、通勤が困難な方たちの自宅近くでの業務を可能にしているそうです。従来の枠を超えて、新しいスタイルのオフィスで働く選択肢も見えてきました。
次回も森本さんに詳しく伺っていきます。お楽しみに!


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