宮崎県 さま
- 導入サービス

総合政策部 情報政策課 主査 中西 博仁様
総合政策部 情報政策課 システム最適化担当
主幹 井上 英幸様
総合政策部 情報政策課 課長 青出木 和也様
税、人事、財務…基幹システムを含むサーバー仮想化に、
全国の自治体も注目。
民間企業をはじめ自治体でも、サーバー仮想化の動きは増えています。
そんな中、いまが最良のタイミングだと考え、乗り換えに踏み切った宮崎県。
統合されるシステムは70、サーバーにして300台…
それは全国の自治体から注目される大規模なプロジェクトとなりました。
※組織名他役職等については2014年8月の取材時におけるものです。
※「キューデンインフォコム」は2019年7月に「QTnet」と合併しました。
サーバーの仮想化は大きな時代の流れ、問題は乗り換えるタイミングでした。

銀行をはじめとする民間企業が先導してきたサーバー仮想化のトレンドを、以前から興味を持って見守ってきました。将来どんな新技術が誕生するのかはわかりませんが、サーバーを仮想化することは時代の流れだと考えていたのです。全国の自治体の間でも、比較的負荷の少ないシステムから仮想化が進んでいるという情報にふれ、そろそろこの技術も試験期から実用期に入ったのではないかと感じていました。
そこで平成24年度、導入への第一ステップとして、各課にヒアリングを行い、全体的な規模感を把握することからスタートしました。当時宮崎県が管理・運営していたシステムは約200。調査の結果、そのうち70のシステムが統合可能であると判断しました。サーバーの台数だけでも300台を超えています。タイミング的には早いというわけではありませんでしたが、これだけの規模となると、全国でもまだ数例の挑戦的なプロジェクトでした。
柔軟性と安心感を併せ持つ、バランスの良さで選びました。

翌平成25年度には、事業者の選定が始まりました。宮崎県では5年をサイクルとして各課のシステムを入れ替えています。今回の移行もこのサイクルにあわせ、対象となるシステムのサーバー仮想化に5年をかけるタイムスケジュールを設けました。正直なところ、5年という年月のうちに何が起こるか予測がつきません。当然システムの増減もあるでしょう。また新しい魅力的な技術が誕生することも十分に考えられます。
そこでシステム移行のパートナーを選ぶ際には「柔軟性」や「対応力」を重視することとしました。宮崎に拠点を置くベンダーさんとチームを組んでご提案いただいたQTnetさんは、状況に応じてカタチを変える柔軟な対応力をアピールしておられました。QTnetさんには、この点を大いに期待しています。
また、万が一の災害に備えたディザスタリカバリー(DR)システムの構築も、今回サーバー仮想化に踏み切った大きな要因です。この点でも、QTnetさんのアドバンテージは大きかったように思います。遠隔地へのバックアップが必要となるDRにとって大切なのは、高速でしかも安定した通信網です。その点、回線事業者であるQTnetさんの場合、自社所有の回線を柔軟に調達できるのではないかと考えました。
QTnetさんとは、県庁と各市町村とを結ぶ光ファイバー網「宮崎情報ハイウェイ21」の運営・管理をお任せして以来のお付き合いです。地元のネットワークを知っていることも安心でしたし、日頃のお仕事を拝見していて、質問や要望に対するレスポンスの早さも印象に残っています。こうしたすべてのことを総合して、5年という長い道のりを共に歩むパートナーにQTnetさんを選びました。
難易度の高いシステムの移行が続く、これからが山場を迎えます。

仮想環境への統合は平成26年度からスタートしました。これからは難易度に関係なく、入れ替えの時期を迎えたシステムから順番に仮想化していく予定です。現在、仮想環境上で4つのシステムが稼働しています。最初の移行でしたから、まずはテスト版としての環境を用意して動作を十分に確認し、その後本番の環境へ移行するという慎重な作業を続けてきました。結果からすると、思った以上にスムーズに移行できました。現在も順調に稼働していますので、ファーストステップとしては、とても満足のいく結果でした。
しかしこの4つのシステムは、難易度としてそれほど高いものではありません。本当の山場はこれからだと考えています。その一つが、個人情報を取り扱うシステムの移行です。市町村とは違い、県庁のシステムに含まれる住民の個人情報はそれほど多くはありません。例外的に庁内で、住民の個人情報を取り扱うのが県税のシステムです。サーバーだけでも30台弱。内容も金銭に関わることですから、これまで以上に慎重に進めなければと考えています。他にも人事や財務など基幹的なシステムの移行が続きます。それに従いQTnetさんとのやりとりも増えてくることでしょう。軽やかなフットワークと柔らかな発想での提案力に期待しています。
仮想サーバーへ移行するなら、いまがベストのタイミングです。

これまで宮崎県では、5年をサイクルとするハードウェアの交換のたびに、ソフトウェアの入れ替えのため多額の費用がかかっていました。いわば引っ越し費用のようなものですが、これを捻出するのに各課は苦労していました。しかしサーバーを仮想化しておけば、引っ越しの費用はほとんど必要なくなります。
また仮想化技術には、一度仮想化してしまえば、他の物理サーバーへの移動がラクになるという特長もあります。緊急の際には瞬時にサーバーを移動し運用を続けたまま復旧を図るという、これまで以上に安定した環境を構築することもできるのです。
この先技術がどう進化していくのかはわかりません。しかし仮想化技術は、どの路線に進むにしても一度は通らなければならない乗り換え駅のような気がします。コストや安定性の面でメリットの大きな仮想環境への移行は、民間・官公庁を問わず十分な実績が出揃ったいまこそ、最良のタイミングではないかと思います。
橋渡しとしての経験が豊富な、同社の活躍に期待しています。

来年度からは災害時のリスクを分散するためのDRにも着手します。データをバックアップするのは、同社と同じ九電グループの(株)キューデンインフォコム(現:QTnet)のデータセンターです。災害の少ないロケーションにあり、西日本でも有数のファシリティを誇るデータセンターが同じグループにあることも、利用者側にとっては安心材料の一つです。
現在稼働中の2つのシステムを助走段階として、いよいよこれから移行作業は本格化していきます。各課それぞれがベンダーが違うアプリケーションを持ち、その一つひとつを仮想環境に統合していくプロセスには、きっと思いがけない問題点や壁も多いはずです。そのような意味でも、宮崎県と各ベンダーさんとの間に立つQTnetさんには大いに期待しています。回線事業者である同社は、様々な制限のなかでベストの環境を構築してきた多くの経験をお持ちのはずです。そのような調整・交渉能力をお借りする機会も、これからますます増えてくると考えています。
大規模システム統合の成功には影響力の強い組織作りも不可欠

自治体にしろ、民間企業にしろ、サーバー仮想化のトレンドのなかで、これからシステムの統合を控え、お悩みのご担当者も多いのではないでしょうか。今回、私たちが得た教訓の一つは、事前に組織内での協議を行い「何を期待しているか」の意志を共有することの大切さです。その上で仕事の相手方に要望を伝える前に、自分たちが求めているものを言語化することに十分な時間をかける必要があると思います。逆に言えば、この段階さえうまくクリアできれば、後のステップはスムーズなものとなります。
システムを統合するということは、縦型の組織に大きな横串を通すようなものです。当然予算も絡んできますし、仕事のスタイルに影響を与える場合も少なくありません。そういった意味で合意形成への強い影響力も必要となってきます。宮崎県の場合は、副知事をトップとした組織でプロジェクトを進めていますが、とくに大規模なシステム統合の場合は、このようなガバナンスの効かせ方も重要なポイントとなってくるのではないでしょうか。

提案のPoint!
- サーバー統合基盤をクラウド型サービスとして提供することで、初期投資の削減と
利用状況に応じたサーバーリソースの活用でトータルコストを削減。 - 宮崎県専用の運用体制を整備・提供することで、迅速な対応と柔軟な運用を実現。
- 仮想化の特長を活かした信頼性の高いシステム構成、バックアップやウイルス対策を
統合的に提供することで安全かつ安心できるサーバー統合基盤を実現。 - サーバー統合基盤から通信回線、ディザスタリカバリーサイトをワンストップで提供できる
QTnetのチカラを最大限に提供。

担当者からのメッセージ
営業担当 川辺 幸治
各課でお話を伺っていると、セキュリティ対策やメンテナンス業務でご苦労されているように感じました。今回のプロジェクトが終了すれば、統合されたすべてのシステムを一元管理できますので、安全性の向上や日々の業務の省力化にもお役に立てるのではないかと考えています。
導入サービス
宮崎県

宮崎市橘通東2-10-1
[TEL] 0985-26-7045(情報政策課直通)
[URL] http://www.pref.miyazaki.lg.jp
総面積7,736.08km2。人口1,115,227人(2014年7月1日現在)の宮崎県。「フェニックス」に代表される南国情緒豊かな気候を活用した農業や観光に力を注ぐ。平成14年度から県庁と各市町村とを結ぶ多目的光ファイバーネットワーク「宮崎情報ハイウェイ21」を導入するなどIT化にも積極的に取り組んでいる。平成26年度より5カ年計画で、サーバーの仮想化に取り組んでいる。